べんとうの日常生活

まあ、日記ですよ。

人間嫌い 第一章

 俺はこの世に住む悪魔だ。俺は人間が大嫌いだ。だから近くに来て調子に乗ったものはすべて殺している。近頃人間どもは心霊スポットがどうとか騒いでいるようだが、俺はそんな人間どもの態度が大嫌いだ。心霊写真やなんやを撮ったものは魂さえ消すことにしている。そして、この世の除霊師というものを恐れ殺したものの身内の記憶から殺した人間の記憶を消している。

 一人の少年が俺のもとに来た。「なぜ来た」と理由を尋ねれば親を亡くしてここにきているそうなので、殺しはしなかった。「俺のことは誰にも言うな」という頼み事は聞き入れなかった。その態度がいかにも人間らしくなかったので、殺さなかった。そして、「俺の元で暮らすか」と言えば人間とは思えない答えだったので、殺すはずがなかった。

 親は悪魔、子は人間。レストランなどに行く理想的な人間生活はこいつには送れない。俺の自分好きが故にそうなるのは本当に申し訳なかったが、俺の無理の容量は十で、あいつの無理の容量は百だから、二十と百十にするほか分かち合う方法はない。悪魔は甘やかされる。立派な人間は厳しくされる。甘やかされた人間は環境云々でなく厳しい心理状況を強いられ、その逆がある。